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​エラー再現と写真概念の拡張

フォトグラフ

本作は、自身がSDカードフォルダを漁っていた時に見つけた写真エラーから基づき、再現した作品である。カメラのミスショットであるダブルリング現象と呼ばれるセンサーエラーが起こり、一枚の写真の中に複数の人物や建物が重なるように密集し、肉眼では不可能な観測をカメラセンサーは捉えた。本来であればメーカーのミスとも言えた現象に着目し、身体と機械それぞれが観測する視覚の差異に違和感を覚えた。

 

これまでの写真史では、ポスト写実主義絵画の役割を担い、より肉眼に近い形で残す記録媒体として写真が強く意味を持ち、現代までにテクノロジーを追求してきた。しかしテクノロジーの発展とともに、写実性や色相の幅は人類が肉眼で観測できる出力を超越してきたとも言える。

 

そういった中で、自身が撮影したはずだったエラー写真の姿は、一体、誰が観測した景色であったのかと、カメラと人類が捉える感覚の隔たりに惑わされる。

 

鑑賞者には、ユーザーインターフェースによって触れ慣れている記録媒体と人間の間に存在する「感覚のズレ」を、本作を通じて感じていただきたい。

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